• TOHOKU PRO BONO 

    PROJECT 2020

    成果報告会レポート

  • 『東北プロボノプロジェクト』は、東北の熱い想いを持った事業者(=ココロイキルヒト(*1))と全国津々浦々から参加するプロボノとがチームを組み、事業者の課題解決にむけた1歩を、共に考え、共に走り、共に創るプロボノプロジェクトである。

     

    東北経済産業局主催事業(弊社受託)として、2019年より実施。これまでに、計15プロジェクトを実施。98名の方々にプロボノとして全国各地からご参加いただいた。

     

    *1 ココロイキルヒト
    「ココロイキルヒト」とは、⼼意気(チャレンジ)、⼼⽣きる(感動する)など複数の意味を有する東北起業家をはじめ東北で自らのありたい姿に向け主体的に活動をするヒトを指したオリジナルのコトバ。東北をきっかけとした「姿」がこのコトバにはあり、他⼈事ではない⾃分ごとであることに気づきをもたらすコトバである。既成の枠組みや考え⽅越えて新しい東北を創り出す⼼意気を⽀援し、この活動を⽇本のみならず、世界に向けて発信していく。
     
    *2 プロボノ
    『プロボノ』とは、ラテン語で「公共善のために」を意味する"pro bono publico" の略語で、自身の職務スキルや知識を活かしたボランティア活動のこと。東北プロボノプロジェクトにおける"スキル"とは会計・マーケティングといった職務スキルに止まらない。「首都圏在住の1消費者であること」「趣味としてやっていたデザインやライティング」などなど、属性・趣味等も大切な提供価値(スキル)と捉える。
     

    本報告会では、『東北プロボノプロジェクト』に関わっていただいた方々をゲストに、下記のタイムテーブルにて、これまでの活動内容、プロジェクトの成果、プロボノの楽しさ/難しさなど、幅広くお話を伺った。

    イベントタイムテーブル

    『東北プロボノプロジェクト』の概略説明

    はじめに、弊社プログラムディレクターの本多より、『東北プロボノプロジェクト』概略説明として、プロジェクト実施の背景や本年度事業の特徴、過去の取り組み事例の紹介等を行った。

     

    東北ならではの特徴として、

    ・震災を経験した東北は社会課題に真摯に向き合っている事業者・起業家が多いこと

    ・震災の際、東北で活動した方や、逆に当時活動ができなかった方の東北に貢献したいという欲求が今においてもなお残っていること

    を挙げ、社会課題を共に解決していくという「プロボノプロジェクト」との親和性を指摘した。

     

    また、『東北プロボノプロジェクト』の特徴として、下記3点を示した。

    ①「社会課題の解決に取り組む情熱あふれる事業者と一緒に行うプロジェクト」

    ②「プロジェクトごとにプロジェクトマネージャーが入りチーム運営を支援」

    ③ ALL オンラインで実施

     

    2020年度における事業紹介では、3weekプロジェクトと6mothプロジェクトと、期間を変えて実施した2つのプロジェクトの紹介を行った。

     

    短期プロジェクトにおいては、「事前の課題の切り出し」が重要であること。

     

    長期プロジェクトにおいては、「受け入れ事業者visonの深堀」などより事業者と参加者が共に作り上げるという余白を残すことがそれぞれ挙げられた。

    3weekプロジェクト =受け入れ事業者=

    3weekプロジェクト =成果物(株式会社佐久様)=

    6monthプロジェクト =受け入れ事業者=

    6monthプロジェクト =成果物(有限会社伊豆沼農産様)=

    プロボノプロジェクト活動紹介 /株式会社さんりくみらい様

    株式会社さんりくみらいでのプロボノプロジェクトの活動について、プロジェクトマネージャーの山崎さんから紹介がなされた。

     

    「コロナ禍において従来の販路であった業務用の商材の売り上げが落ち込む中、個人向けの販路を開拓していきたいが、情報発信のあり方に悩んでいた」という受け入れ事業者の課題に基づき、プロジェクトマネージャーとプロボノメンバーとの計5人のそれぞれ強みをうまく活かしながら、「新たなファンづくりのためのオウンドメディアによる発信(16記事販売)」や「クラウドファンディングによる既存ファンとの関係性構築(75人から65万を超える支援)」などの取り組みを行なったとの説明がなされた。

     

    また、「プロボノプロジェクト」において大切なことは、楽しく前向きにやること。そして、6ヶ月で終わりのプロジェクトを行うという考え方ではなく、今後も中長期的に効果が得られる取り組みを行なっていくという事業者目線にたったプロジェクトの実施だと指摘した。

     

    さらに、この3月にてプロジェクトは終了するが、ファンづくりに向けた動きを継続して続けていきたいと意気込みを語った。

    山崎さん(プロジェクトマネージャー)

    パネルディスカッション /株式会社さんりくみらいチーム

    株式会社さんりくみらいチームの事業者、プロボノによるパネルディスカッションが行われた。「受け入れ事業者」である株式会社さんりくみらい代表取締役藤田さん、「プロジェクトマネージャー」である山崎さん、「プロボノ参加者」である福島さん、野上さんの4名が登壇し、弊社本多をモデレーターにプロボノプロジェクトを振り返ったトークを行なった。


     

    本多:

    プロジェクトを振り返って感想をお聞かせください。


     

    藤田さん(受入事業者):

    気仙沼わかめ養殖する漁師をしています。漁師・加工・仲買と立場の異なる3人で、株式会社さんりくみらいを立ち上げ3年目となります。売上としても着実に伸びてきてはおりましたが、コロナの影響など課題も顕在化してきており、何か新たな取り組みをと受け入れを決断しました。「プロボノとは何なのか?」という疑問からのスタートでしたが、プロボノ参加者のマーケティング・ネットなど専門スキルの力で自分たちでは手がつけられていなかった様々な取り組みを行うことができました。

    藤田さん(受入事業者)

    福島さん(プロボノ参加者):

    本業では副業が禁止でしたので、他の業界に携わる機会が全くありませんでした。3weekプロボノプロジェクトにお試しで参加しましたが、自身のキャリアで触れることのなかった全く別な業界でのプロジェクトではとても多くの気づきを得ることができました。そして、さらに色々な分野に入ってみたいと6ヶ月プロボノプロジェクトにも応募させていただきました。クラウドファンディングの設計・運用、ブログ記事作成などを担当しましたが、発見の連続。とても、貴重な経験ができました。

    福島さん(プロボノ参加者)

    野上さん(プロボノ参加者):

    普段は、システムエンジニアとして働いています。プロボノには、2019年度に参加し、ぜひ今年もと、2年連続で参加させていただきました。漁業は、未知の業界で、分からないことも多かったですが、受入事業者さんとのコミュニケーションを通じて業界についても学ぶことができました。

    (*画面OFFであったため画像なし)


     

    本多:

    プロジェクトの成果としてクラウドファンディングがありますが、このクラウドファンディング実施に向けた想いはどのようなものだったのですか。


     

    藤田さん(受入事業者):

    震災から10年、全く見ず知らずの人から本当に多くの支援を、応援をいただきました。震災後は、漁業で十分な収入を得ることができず、どうやって生活していくか悩みましたが、これまで連携をとることの少なかった地域の同業者と連携をすることで、1歩1歩進んでくることができました。そして、震災から10年目。何かお礼ができたらと思っている中、子どもの貧困の話を耳にすることが増えてきました。恩をいただいた方に直接お礼をすることもできるけれど、今、大変な想いをしている子ども達への「恩送り」という考え方も意義があることではないかと思い、クラウドファンディングを行いました。ただ、想いはあったものの、技術的なところはありませんでした。プロボノ参加者のみなさんがいたからこそチャレンジができたと感謝しています。

    クラウドファンディングバナー画像

    本多:

    確かに、自分たちの取り組みに対して共感を持ち寄付をするというクラウドファンディングの仕組みを考えると。外の視点を持っているプロボノ参加者さんの存在には大きな意味がありますよね。ここで、藤田さんたちのクラウドファンディングでの支援先にあたる、貧困家庭の子ども支援を行うNPO法人STORIAの佐々木さんにもお話お聞きしましょう。佐々木さんコメントをお願いいたします。


     

    佐々木さん(クラウドファンディング支援先団体):

    ご紹介いただきましたSTORIAの佐々木です。藤田さん、この度はご支援いただき本当にありがとうございます。私たちの活動に参加している子ども達の家庭は、1人親世帯が多く、日常の当たり前の体験ができない子が多くいます。『食育』という観点で、生のワカメを見て、触れて、食べてみる経験はとても貴重なものでした。子ども達も、とっても喜んでいました。「恩送り」でいただいた恩を、今度は子ども達が別なところで繋いでいくことになればいいなと楽しみにしています。本当にありがとうございました。

    佐々木さん(クラウドファンディング支援先団体)

    本多:

    佐々木さんありがとうございます。おっしゃるように、次は、子ども達が「恩を送る」側になっていってくれたら嬉しいですね。

    さて、今まで、プラスのお話をお聞きしてきましたが、逆に大変だったところはありますか。


     

    藤田さん(受入事業者):

    時間の使い方です。日中に仕事をするプロボノ参加者の皆さんと早朝から仕事をする漁師とでは全く生活サイクルが違いますからね。けれども、自分の想いに共感してくれて、集まってくれ、さらには、本業がありながらもボランティアで活動を行なってくれる、プロボノ参加者の皆さんの気持ちに応えたいという想いで調整をしました。


     

    本多:

    この、時間の使い方というところに関連して、今回はコロナ禍ということで、100%オンラインでのプロジェクトとなりました。「オンラインのよかったところ」「難しかったところ」について参加者の立場ではどのように感じていましたか。


     

    山崎さん(プロジェクトマネージャー):

    ZoomミーティングやLINE WORKSなどのオンラインツールを使いながらうまく対応することができたと思っています。逆に、場所・時間、問わず気軽に話ができるオンラインだったからこそ、参加メンバーがバラバラなところで暮らしていてもプロジェクトを進めることができたと思います。逆に、大変だったところとしては、「漁業」という業界が未知の業界だったため、文字や画像だけではなかなか現地の雰囲気を掴むことが難しかったというところですかね。


     

    福島さん(プロボノ参加者):

    山崎さんおっしゃるように、リアルな現場のイメージが掴めなかったというところはオンラインの難しさであったなと思います。ただ、オンラインだからこそ、手軽にmtgの機会等を持つこともできたというところもありますね。


     

    野上さん(プロボノ参加者):

    私は、むしろいいことの方が多かったと思います。場所関係なく、スピーディーにコミュニケーションが取れるということは、本業がありながら活動している身としてありがたかったです。


     

    本多:

    確かに、オンラインには空間や時間を飛び越えられるというならではの強みがありますよね。

    そして、この6ヶ月という期間、皆さんはプロジェクトを進めてこられたわけですが、プロジェクト的な成功・失敗というところではなく、ご自身のキャリアという観点においてどのような意味がありましたか。


     

    福島さん(プロボノ参加者):

    これまで、1つの仕事しかやってきませんでしたが、別な仕事・業界に関心を持つきっかけになったり、地域貢献に関心を持つようになったりと、自身の生き方・働き方を改めて考えるようになりました。自分に取ってここでの経験は大きかったです。


     

    野上さん(プロボノ参加者):

    東日本大震災後、震災ボランティアにも参加したりしてきましたが、それ以来、なかなか東北との関わりを持てずにいました。このプロボノプロジェクトに参加することで、また、東北との関わりを持つ機会を頂けたということには本当に感謝しています。また、会社では使うことがなかった自分の趣味を活かす機会をもらえ、皆さんに喜んでもらえたという経験もよかったです。


     

    本多:

    皆さんにそう言っていただけて、運営側も安心しました。ありがとうございます。

    最後に、皆さんから、一言ずつ、プロボノプロジェクトに興味を持っている参加者・事業者に向けてのコメントをお願いいたします。


     

    藤田さん(受入事業者):

    よかったこととしては、普段生活していたら出会うことができない方々との繋がりを得られたことだと思います。全く見ず知らずの間柄から、オンラインではあったもののコミュニケーションをとる中で色々なチャレンジができましたし、新しい世界を知ることができました。そして、何よりも、1番は活動が楽しかったということだと思います。参加をご検討されている事業者の方に取っては、今までのネットワーの外からの刺激を得られるという点でも大きな意味がある時間になると思っています。


     

    山崎さん(プロジェクトマネージャー):

    自分が当たり前と思っていることが当たり前でないことを知れることは価値があると思います。自分が認められる嬉しさをぜひ体感してほしいです。


     

    福島さん(プロボノ参加者):

    知らないことも多く、大変なこともありましたが、新たな学びを得られる喜びや、社会人になるとなかなか外に友達できないが今後にもつながる関係性を築けたことは大きかったです。


     

    野上さん(プロボノ参加者):

    プロボノプロジェクトに参加する前は、自分が役に立てると思ってもいませんでした。けれども、本業のスキルだけでなく、趣味でやっていたものも活かすことができたことはとてもよかったと思います。「自身の仕事もあるのに忙しくなってしまうのでは」とも思ってしまうかもしれませんが、肩肘張らずに参加して欲しいと思います。

    今後の『東北プロボノプロジェクト』について

    イベントの締めくくりとして、弊社の本多より、これまでのプロボノプロジェクトを踏まえての意義や今後の『東北プロボノプロジェクト』の取り組み構想について提示した。

     

    まず、参加者からの声として、「世のため・人のための活動は燃える」「背景・スキル・経験が全く違う方々とのチームを組んでのプロボノプロジェクトは単なる貢献だけではなく、自身にとっても学びが大きい」「東北に縁ができた、継続して通いたい」など多くの可能性ある声をいただいたと語った。

     

    現在の『東北プロボノプロジェクト』の立ち位置を、参加者のコーディネートの経験は構築できてきたが、事業者の巻き込み方を探っていくところと述べ、巻き込みに向けてのポイントとして、「プロボノに適した課題の切り出し」「期待値調整」「タイミング」の3点があると示した。中でも大切な、「取り組み課題の切り出し」においては、ある程度重要度が高くかつ緊急度が低い(いつかやりたいこと)ものであると語った。

    プロボノプロジェクト設計に向けて(課題の切り出しポイント)

    そして、次の1歩として、「東北プロボノコミュニティ」を立ち上げ、事業者とプロボノのマッチングをしていく機会を継続的に構築していき、熱い思いを持って活動を行う「ココロイキルヒト」が集まるコミュニティくっていきたいとしめ括った。